意見表明

2024年 九州労働弁護団活動方針

2024年2月2日

第1 あらゆるハラスメント根絶に向けての取組

パラハラにより命を絶つ労働者が後を絶たない状況が続いている。依然、各種 労働相談でも、ハラスメントに関する相談が多数を占めている。ハラスメントは 労働者の人権侵害であり、決して許されない。不十分ながらも施行されている労 働施策総合推進法を活用し、使用者に対して、措置義務を具体化するよう求めて いくことが必要である。また、訴訟においては、ハラスメントの事実認定へのハー ドルは高いが、労働者が働きやすい職場環境を確保するためにも、積極的にハラ スメント事件に取り組んでいく。

第2 有期契約の無期契約への転換への取組

パラハラにより命を絶つ労働者が後を絶たない状況が続いている。依然、各種 労働相談でも、ハラスメントに関する相談が多数を占めている。ハラスメントは 労働者の人権侵害であり、決して許されない。不十分ながらも施行されている労 働施策総合推進法を活用し、使用者に対して、措置義務を具体化するよう求めて いくことが必要である。また、訴訟においては、ハラスメントの事実認定へのハー ドルは高いが、労働者が働きやすい職場環境を確保するためにも、積極的にハラ スメント事件に取り組んでいく。

第3 雇用によらない働き方に対する取組

2023年成立したフリーランス新法では、業務委託時に報酬の額等の条件を 明示する義務を定め、特定業務委託事業者に対して報酬減額や返品、指定物等の 購入強制などの行為をしてはならないと規定し、特定受託事業者が一定保護され ることになった。しかし、実質的に労働者と同視すべき特定受託事業者が労働者 に比して法的保護の範囲が狭い状態であることは改善されなければならない。公 正取引委員会及び厚労省での議論状況を注視しながら、労働組合法上の労働者性 が認められる個人事業主については、プラットフォーマー等に対して団体交渉を 求めるとともに、労働者の権利保護が図られるよう必要に応じて法的手段など取 り組んでいく。

第4 労働環境改善に向けての取組

  1. 教職員の給特法についての取組
    文科省や自民党でも教職員の勤務環境改善に向けての検討が行われているが、抜本的解決は出来ない状況にある。引き続き給特法の廃止を含め、教職員の長時間労働防止に向けて、労働組合を支援していく。
  2. 自動車運転者に対する残業規制についての取組
    自動車運転者に対して、2024年4月から時間外労働が年間960時間の上限規制が適用される。各業界において対策が叫ばれているが、各使用者が規制を遵守しているか注視してく。
  3. 医師の労働時間上限規制についての取組
    これまで猶予されてきた時間外労働の上限規制が、2024年4月から医師に対しても一定適用される。しかし、BC水準や連携B水準では、年間1860時間までの労働時間を一部認めることになり、到底医師の健康に配慮した規制とは評価出来ない。また、自己研鑽との名の下での労働時間規制の潜脱も問題となっており、適切に労働時間抑制がなされているか注視していく必要がある。
  4. 裁量労働制への取組
    「これからの労働時間制度に関する検討会」報告書にそった内容で、労働政策審議会労働条件分科会が報告をとりまとめ、省令・告示がなされた。対象業務が 一部拡大したものの、専門業務型適用の際の本人同意の義務化や、同意の撤回手 続の創設、不同意の不利益取り扱いの禁止などの規定もあり、不当な裁量労働制 の適用・運用については、これらの規定を活用して戦っていく。

第5 その他の課題

  1. 解雇の金銭解決制度導入阻止への取組
    現状議論が止まっている状態であるが、注視を怠らず、金銭解決制度が労働者に不利益を与えるものであるとして、制度導入に断固反対をしていく。
  2. 外国人労働者に対する支援の取組
    技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が、2023年11月30日に最終報告書を取りまとめた。転籍を認める等評価すべき点もあるが、 受け入れ対象分野によっては経過措置が設けられる可能性があることや、監理団 体の独立性が担保されていないこと、労働者の家族帯同が認められていないこと など不十分なところも多々ある。外国人が人権保障された環境で就業できるよう に取組を行っていく。
  3. 最低賃金の大幅な引上げに向けた取組
  4. 仕事と育児介護の両立支援への取組
  5. 労災、アスベスト、原発労働問題

第6 信頼に応えられる弁護団へ

  1. 労働者・労働組合の権利闘争への取組の強化
    総会・夏季学習会において、弁護士のみならず、当事者や労働組合の参加を促進する。労働運動として取り組んでいる事件報告を充実させ、双方向での議論を推進する。全体で、情報共有・連携を促進し、労働者・労働組合の権利闘争に取り組む。
  2. 各地の労働弁護士・労働弁護団の活動支援
    各地で闘っている会員や労働弁護団の活動を支援するために、情報共有を積極的に行い、各会員が労働者や労働組合から信頼される労働弁護士となれるよう取 組みを行う。各地の活動に対しては、活発かつ継続的になされるよう経済的にも 支援していく。
  3. 新入会員の拡大
    新入会員等が労働事件に関心を持ち、九労弁にアクセス・加入しやすい環境を整える。
  4. 労働相談活動の充実
    各地のホットラインを利用し、積極的に労働者の相談に対応していく。

以上

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